2017年1月3日火曜日

正月SP!第5話:宮崎から戻っての怒涛の1ヶ月。愛媛に淡路島に授業に谷4に船。 〜ROOTS FACTORY火事からの5ヶ月のキセキ〜

自分が働きたい場所を創るために


ものすごくたくさんの刺激と気づきをもらった3日間の宮崎視察を終え

8/11、宮崎空港から大阪に向けて飛ぶ飛行機の中、

今までの考えや予感と、気づきと刺激、バラバラだったものが

空の上で「ポンッ」と繋がって出たひとつの結論、



自分が働きたい場所を創ろう。



淡路島工場の実現に向けて、具体的に動き出す事を決めたのでした。

その日から本格的な淡路島での物件探しがはじまったのです。



淡路島にはうっとりするような景色があちこちにあります



淡路島での物件探し、はじまる


大阪に戻った翌日、8/12には淡路島にいました。

この5ヶ月間はとにかく「ご縁」の連続だったのですが

大きな「ご縁」のひとつ、「熱田さん」との出会いがあります。



火事以降何度か淡路島に行ったんですが

感じたのはとにかく「物件情報がない」という事。

大阪や東京の空き物件は流通しています。



淡路島は物件の情報がなかなか表に出て来ません。

自宅からパソコンで検索して探す。

が全然通じないのです。

何度か淡路島に行って不動産屋さんを訪ね

すごく実感した事です。



待っててもなにもはじまらない。

でもどうしたら?

そんな時に連絡がきました。



以前にROOTS FACTORYで家具をオーダーしてくださった

滋賀の手作りパン工房「ひだまり堂」さん



ひだまり堂さんに納品させていただいた時の写真



オーナーの小林さんが連絡をくださったんです。

小林さんはなんと淡路島出身だそうで

僕が淡路島で物件を探している事を知って

地元の先輩の「福谷さん」につないでくださいました。



あとで知ったのですが、

福谷さんは漁師さんをしながら絵を描き歌を歌います。



福谷さんの個展、福谷夫婦展におじゃましてきました



「暮らしを楽しむ達人」でした。

初めてお会いしたこの日、福谷さんご夫婦の個展

「福谷夫婦展」を開催されてるとのことでおじゃましてきました。



淡路島の隠れ家的なギャラリー (でいいのかな?)

「なごみ 工房笑む」さんが会場でした。



なごみ工房 笑む さん



笑むさんはなんとも味のあるギャラリーで

民家を上手に使ってギャラリー&カフェスペースにされてました。



楽器も置いてあってジャズライブなんかもあるそうです



奥には楽器の置いてある部屋もあって

ジャズライブなんかも開催されるそうです。

そんな素敵な福谷さんの楽しみ方、

「淡路島いいなー」と改めて思いました。



そしてそんな福谷さんから紹介して頂いたのが熱田さんだったんです。

この日8/12は熱田さん福谷さんに初めてお会いした日でした。



熱田さんは東京と淡路島にオフィスを構える戦略コンサルタント、

年中双方を行き来されてる方です。

「初めまして」とあいさつした次の言葉が

「時間もあれだしとりあえず行きますか?」

で、ついていくと淡路市役所だったのにはびっくりしました。



淡路市役所はとても綺麗でした



起業支援、移住支援などの担当の方をご紹介頂きました。

そのままトントン拍子、という訳にはさすがにいきませんでしたが

その後の物件探しにものすごく参考になる情報をたくさん頂きました。



その日さらにもう数カ所連れて行って頂きました。

募集もかけていない(かけようかな?と検討中)の場所に。



ものすごいエネルギーを持つ人です熱田さん



「あーこれは本当に足で探しまくるしかないな・・・」

と深く感じた日でした。



ルーツファクトリー愛媛工房、誕生!


9月からものすごくお世話になっている愛媛県宇和町の

ルーツファクトリー愛媛工房工房、

ご縁を頂いたのは8/15の事でした。



火事の翌日から東大阪の上手工作所さんにお世話になっていましたが

上手工作所さんはとても忙しい工房さん。

「目処がつくまで使って良いよ」と言ってくださってましたが

いつまでもお世話になる訳にもいきません。



最初はさっさと次の物件を探して・・・

とか考えていたんですが全然そんな訳にいきませんでした。

ROOTS FACTORYの建物は延べ150坪ほどありました。



工房の木工機械を置いてた作業スペースだけでも50坪、

材料置き場や保管スペースなんかは含まれません。

そういう環境で家具製作をしていました。



火事後一番最初に取り掛かったのは再製作です。

火事で燃えてしまったオーダー家具

その再制作が一番先にやるべきミッションでした。



燃えてしまった家具の再製作が一番のミッション



でもそれが一番難しい事でもありました。



機械も場所も一切なくなってしまったんです。

木工機械の設定(まっすぐ切れるようにする等)ひとつ出すだけでも

ものすごく大変な作業です。

何年もかけてつくってきた「いつでも作業ができる場所」を

簡単に用意できる訳がないんです。



だから上手工作所さんでまず「できる作業」をさせて頂いて・・・

あっもちろん上手工作所さんでもできるんですよ。

ROOTS FACTORYよりも環境は揃ってるくらいです。

でもそれをするって事は



上手工作所さんの仕事ができない



って事なんです。

そんな事できる訳ないですもんね。

なのでご厚意で貸して頂いた場所でできる事を

スタッフの石川くんに進めてもらいながら

僕は「もう少しちゃんと当座の作業ができる場所」を探してたんです。



「あまり稼働していない木工所さんてないでしょうか?」

大阪では相当に探しにくいミッションです。

地代の高い地域では「あまり稼働していない」て事は死活問題です。

「廃業予定でしかも場所貸してくれる木工所」なんて

関西にはたくさんいる知り合いの木工所さんにも聞く訳にいきません。

だって失礼すぎるでしょ?



そこで知り合いづてに探して頂いたのが

愛媛県宇和町の木工所さんだったんです。

80歳を超えたおじいさんが一人でやってる木工所(建具屋)さん。

農業と兼業でされていて使ってない事も多い。



最高です。



地代と人件費という基本コストが大きくなければ

もしかして貸して頂けるかもしれない。

すぐに愛媛に向かいました。



広い建屋に広い作業スペース、十分な環境です



完璧です。

これだけの場所と機械があれば

とりあえずの製作はできる。



加工に必要な機械もひと通り揃っています



輸送コストはかなりかかるけど

お客さんにこれ以上迷惑をかける訳にはいかない。



事情をお話しして「しばらくの間なら」と

快諾してくださいました。

この時は1〜2ヶ月のつもりだったんですが・・・

こうしてルーツファクトリー愛媛工房が誕生したのです。



家具作りたいおっさんが授業をする?大阪府の事業


「阪井さん、お久しぶり!」

と8/18に連絡が来たのはNPO法人スマイルスタイル理事の

「しーちゃん」こと島田彩さんからでした。

若いのにめちゃめちゃやり手なすごい人です。



以前、大阪府の事業で就労支援のプロジェクトで

ROOTS FACTORYを取り上げて頂いて事もあります。

家具職人として取材して頂いたんです。



そんなしーちゃんから連絡が、

「阪井さん、高校生に仕事の楽しさを教えてもらえませんか?」

「え?なにそれ?やります!!」

よく分からないけどしーちゃんに誘われたらやりたいですw



「あの人が言うならきっとやるべき」



僕にとってのそう言う大切な人のひとりです、しーちゃん。

「資料あるのでとりあえずメール送りますね」

「あっじゃあ取りに行きますよ」

と、いう事で第一回の打ち合わせに。



しーちゃんと打ち合わせ後に



こうして「家具作りたいおっさん」が高校生に特別授業をする

というなんとも不思議なことが決まったのでした。



谷4のPUNKな物件


スマイルスタイルのオフィスでしーちゃんと打ち合わせを終えて向かったのは

谷町4丁目の物件、貸しガレージとして賃貸募集されていた

めちゃめちゃ気になった物件です。



淡路島に工場を創るとはいっても

淡路島に移住する訳ではありません。

ROOTS FACTORYが生まれて育って来た街、大阪

たくさんの大事なお客さんや業者さんがいます。

めちゃめちゃたくさんの思い出も思い入れもあります。

「作る場所」を淡路島に創るだけで



大阪でもがっつり家具を創ります。



その為には拠点が要ります。

元のルーツファクトリーほど大きな場所は要りませんが

「楽しさ」を凝縮した場所が必要です。

そんな理由から淡路島で工場を探しながら

大阪でも物件を探していました。



最近の大阪での不動産関係をすべてお願いしてる

お友達の不動産屋さんのオフィスで気になる物件を見つけました。

谷町4丁目は僕が生まれ育った街です。

大阪市内でも真ん中の方で、家賃はかなり高い方のエリア

そこで妙に安い値段で貸しガレージの募集、

でも物件情報の写真を見るとどう見てもビル。



少なくとも2階はついてるのになぜか「ガレージ貸し」でした。

真相を探るべく早速案内をお願いしました。

現地を見に行くまでの車中で、

その物件に関するいろんな補足情報を聞きました。



〇■△●□▲¥〇◆△★○▲△●●□▲¥〇で

◆△★○▲△●〇■△●□▲¥〇●□▲¥の為に

とっても安い金額で上の階はなかった事にして貸そう。

と言う事になったんだそうです。



要するに詳しくは言えないけど訳ありって事でした。

あっでも事件とか人が亡くなったとかそういうのではないですよ。



めっちゃ気になる佇まい



見にいって外見を見て

シャッター開けて中を見て

2階に上がって見て

屋上に上がって見て

感想。



めっちゃPUNKな物件やなココ!!



音楽というよりも行き方としてPUNKが大好きです。

革ジャンも着ないし黒いスリムデニムも履かないけど

パンクな心意気にはワクワクします。



「ピーン!」ときたのでその場で借りる事にして

すぐに仮契約を申し込んでもらいました。

そこからの長い道のりを、その時は想像もしていませんでした。



今しかできないことをしよう!船舶免許取得


火事以降とにかく長かった待ち時間。

保険会社からの連絡、指示待ちの時間。

「今しかできないことをしよう」

という思いはずっとありました。



自分で事業を立ち上げてからの14年間は

「やることがない時間」なんて無かったんです。

仕事しない日はありました。

朝から飲んだり、サボって出かけたり

そういう事もたまにあります。



でも常にどんどん増えてくやる事が後ろで控えてて

「なにもできない」なんて悩む時間はありませんでした。

火事で突然リセットボタンが押されて一番びっくりしたのは

「なにもできない時間」の存在。



「あっじゃあ詳細わかったら連絡します。」

「先方から返事が来たら連絡します。」

「上に確認して折り返します。」



片っ端から生まれる「待つ」時間。

家具作りたい(燃えちゃったもの早く届けたい)のに

まったく動けない時間。



焦っても意味がないのは分かっていました。

焦りは人間にまったく良い作用を及ぼしません。

じゃあなにができる?

そんなことをずっと考えていました。



宮崎でネジくんと飲んだ夜、

頭の中にこびりついた「船」という単語、

福谷さんと話して少し聞いた「漁師」さんの世界、

大阪での「クルージング」の体験、

そして淡路島という海に囲まれた環境・・・



船の免許取ろう!!



いま新しいビジネスを考えてる訳ではありません。

家具のこと、家具につながること、

それしか考えてません。



家具と船がどうつながるの?



わかりません。

ただ、なんか必要な気がしました。

船の免許。



取るなら、時間取れるのは今しかない。

それは確かです。

そう思ったらもう教習所に電話してました。



船舶免許の教習用の教科書たち



フェリシモさんとのコラボ企画、三日月チェア実現


火事以降、通常業務はすべてストップしてました。

家具工房が家具作れないとなにもできません。

それにまずやらないといけないのは燃えた家具の再制作

つまり、売り上げにつながる仕事は一切なかったのです。



そんな中、嬉しい知らせがありました。

通販サイトの大御所、フェリシモさんとのコラボ企画

5/17から8/31までの期間で募集していた

三日月チェアの申し込みが最終的に20件を超え、

プロジェクトが実現する事になったという知らせでした。



フェリシモさんとROOTS FACTORYのコラボ企画、三日月チェア



先の見えない中、これは本当に嬉しかったです。

火事から1ヶ月ちょっと経って、実質はじめての売り上げ見込みです。

出ていくお金は検討もつかないくらいなのに

入ってくる方は当然ですがストップしたまま、

オーダーやリメイクのお問い合わせはお断りするしかない状況でした。



すでに詳細の仕様も決まって打ち合わせも済んでいる案件なら

愛媛工房で十分製作可能です。

そしてそれ以上に嬉しかったのは「前に進める」という実感。

ちょうど愛媛工房の最初のミッションの為に材料を積んで

陸路をトラックで向かっていた時に入った知らせでした。



火事から1ヶ月が過ぎ、やっと片付けがはじめられる


火事の翌日から慌ただしく動き回っていたにも関わらず

木工機械を引き取ってもらって以降のルーツファクトリー跡の片付けは

まったく進んでいませんでした。

と、いうよりも手を出すことができなかったんです。



保険の調査のための現場保存をいつまでしとけば良いかの返事がもらえず

火災保険がどうなるかの見通しも教えてもらえずで

片付けに関してはまったく動けなかったんです。



引き取ってもらった木工機械も、

再調査の必要があった場合のために、

燃えて錆びて使えなくなったまま

機械屋さんの倉庫で保管してもらっていました。



「いつまで保管しとかなアカンのかな?」

との機械屋さんの問いに答えることもできずに

「すいません。本当にすいません。」としか言えない日々。



8月の終わりに、やっと「もう片付けても大丈夫ですよ」との返事

これでやっと片付けがはじめられる!!

となったのでした。



片付けに駆けつけてくれた助っ人のみなさんと



つづく・・・






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お正月SP連載ブログ 全12話

〜ROOTS FACTORY火事からの5ヶ月のキセキ〜


2016年7月31日、火災でほとんど全てを失くした絶体絶命のピンチから5ヶ月、たくさんの優しさとご縁に支えられ遂にこの春、完全復活しようとしています。「ありがとう」では到底足りない感謝の気持ちと万感の思いを込めて、この5ヶ月を綴ります。

第1話:え?まさかウチが!?火事は突然に

第2話:開けない夜はない。信じて進む大切さ。

第3話:出会いと別れ。現実、それは過酷で果てしなく、残酷で無慈悲?

第4話:宮崎へ行く理由。どこで誰がなにをするか?

第5話:宮崎から戻ってからの1ヶ月。愛媛に淡路島に授業に谷4に船。

第6話:やっとはじめられた片付けと、長い長い長い待ち時間。

第7話:GAME OVER寸前!やっとバトンをもらえたリレー走者とタニヨンベース

第8話:宮崎からの偶然の連続。とんでもない割烹「和楽」

第9話:季節とともにリズムが変わる。たくさんの気づきと…

第10話:衝撃的な大失敗!決死のプロモーション大ゴケ!!でも…

第11話:店長浜ちゃんの卒業と一風変わった求人。気持ちの距離を縮めたい。

第12話:最高の5ヶ月間の体験。全ては縁でできている!
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家具作りたいおっさん、阪井



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